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六ツ星きらり [詳細]
天文レビュー。
普通だったらキャラクター別レビューとかを書くところなんだけれど、このゲームではやはり本編に散りばめられた天文ネタを書いちゃうでしょう。 というわけでキャラクター別レビューは敢えて無視して、ここは天文レビュー。
  • 天文に興味がない人 → ここまで詳しいネタは逆に退屈かも。
  • ちょっと興味があるという人 → とても楽しく読めそう。
  • 天文マニア → 基礎事項っていうところかな。

天体観望の基礎:
> 「まずはポラリス、北極星からだ」
> 「北の空の一箇所で、ずっと動かない星でしたよね」
> 「本当は、小さな円周運動をしてるんだけど……」
> 「観測者の真上を『天頂』、真下を『天底』と言う」

星空の方位を知るときの基本、北極星の見方と用語の説明。北極星が実は円周運動をしているとか、天底なんていうのは初耳の人もいると思う。

月の運行:
> 「げつれい?」
> 「月が完全に欠ける『朔』いわゆる『新月』を0として数えた日数のことです。
>  徐々に満ち続けて、月齢15の『望月』、つまり『満月』で最大になります」
> 「んでもって、どんどん欠けてって、また新月に戻る。周期は29.5日」

  • 短い文章だが月の運行について殆ど述べられている。朔に対して望は満月。望月(もちづき)が満月を意味するというのは意外となかなか聞けない話かもしれない。
  • 余談。
    周期が約29.5日ということは1ヶ月に満月が2度巡ってくる場合があり、その2度目の満月をブルームーン(blue moon)と呼ぶ。
    約30ヶ月に1度程度しか起きない現象なので英語では「once in a blue moon」で「稀に」という熟語にさえなっている。
    でも。でも、でもですよ?
    実はブルームーンが続けて見られちゃうときもあるんです。これを見てください。
     2010/01/01:満月
     ↓29日後
     2010/01/30:満月(ブルームーン)
     ↓30日後
     2010/03/01:満月
     ↓29日後
     2010/03/30:満月(ブルームーン)
    わずか2ヶ月後にまたブルームーン。元日か1/2が満月の年はこういうことが起こり得るんです。2010年を楽しみにしていましょう。

    さて、その結果。
    しっかり話題になっていましたね。予言的中!

星・星団・星雲の名前と距離:
> 昴――――プレアデス星団。またの名を『六連星(むつらぼし)』、『羽子板星』。
> 「和名は『すばる』、洋名だと『プレアデス星団』と言うのです」
> 「地球からの距離は、およそ400光年。どれも5千万から1億歳の、若い星ばかりよ」

> 「アルゲニブ、アルフェラッツ、スカート、マルカブの4つの星で構成されてるこれが『秋の大四辺形』よ」
> 「ペガサス座の近くに『アンドロメダ星雲』があるな」
> 「わたしたちの銀河系に一番近い銀河で、およそ220万から240万光年ほど離れています」

> 「アルファ・ケンタウリ? 4.2光年も離れてるが」

  • 星の呼び名(和名、洋名)とその由来、地球からの距離や移動速度等々。具体的な名称や数値に説得力あり。よく調べている。 ちなみに1億歳で若いとされるプレアデス星団に対して地球は46億歳。プレアデスの面々はたしかに若い。
  • アンドロメダという言葉はとても有名で遠い宇宙を思わせるような神秘的かつロマンティックな響きを持つが、実は地球からわりと近い銀河であることがわかる。
  • アルファ・ケンタウリ(ケンタウルス座のα星)は太陽系から最も近い恒星で、太陽を回る地球のような惑星(系外惑星)の存在も確認されている。

視等級:
> 「織姫は0.1等、彦星は0.9等ですね」
> 「アルデバランは1.1等星、カペラは0.2等星だ」
> 「『視等級』と言って、地球から見た星の明るさを示す数字です」
> 「満月時がおよそ-12で、太陽は-27」
> 「シリウスは-1.5等星で、全天で一番明るいのです」

星の視等級……つまり目で見たときの明るさ。これも具体的な数値に説得力あり。このゲームでは述べられていないが、参考までに惑星のおよその視等級(最大光度)を書いておこう。
  • 土星:0
  • 木星:-2.5
  • 火星:-3
  • 金星:-4.5
恒星よりもかなり明るい。最大光度の金星は頑張れば昼間でも青空の中の白い点として見つけられ、「昼の明星」になる。

彗星:
> 「彗星って……ブラッドフィールドはとっくに時期を過ぎてるし、ニートやリニアも時間が……」

> 彗星は、氷と塵の塊で、長い楕円軌道に乗って太陽系を周回している(太陽系を通過するだけの彗星も存在する)。
> 彗星自体は光を発しておらず、太陽風を受けることによって長い尾を形成し、肉眼で確認できるようになる。

彗星の構造の説明と西暦2004年に話題になった彗星の話。タイムリーなネタをよく仕入れている。

流星:
> 「火球まで混ざってます」
> 「双子座流星群の極大だよ、きっと……。予想の時期とずれたんだね」

流星というか流星群の話。
  • 火球
    金星よりも明るい流星のこと。夜空で(月を除いて)最も明るい金星よりも明るく、すなわち夜空で一番明るい星になれた流星のこと。
  • 双子座流星群の極大は例年12/14付近。

新天体:
> 新星とは、読んで字の如く新しく生まれたばかりの星だ。
> そして超新星とは、寿命を迎えた星が大爆発する際の強烈な発光現象のことだ。

> 「超新星かっ!?」
> 「星の大爆発。英語で言うとスーパーノヴァ。発見すると、業界では結構有名になれるのよ」

新星と超新星。新星が始まりで超新星が終焉。ブラックホールとかもあるけれどね……。

望遠鏡:
> 「1608年、オランダのリッペルスハイという人が発明したといわれています」
> 「1613年、徳川家康がオランダ人から貰ったって記録があるわね」

> 「レンズに触るな! 皮脂がつくっ」
> 「皮脂がついていると、視界が歪むんだ。気をつけろ」
> 「この望遠鏡は屈折式という。構造が簡単で、扱い易い」
> 「もうひとつが反射式。鏡を使うから反射式だ」
> 「屈折反射式というのもあるんだけど……」

> 「覗き込む部分を『接眼部』というわけだが……」
> 「このままだと使い難いので、穴を開け、この『直角プリズム』と組み合わせて改造する」

> 「主鏡の口径は、この大迫力65cmの物を使うことに決定~」
> 「口径が650mmで、それを7で割って……2乗すると……集光力8622!」
> 「最大倍率は……1300倍か」

> ドブソニアン。反射望遠鏡を垂直方向に稼動する台に固定し、水平方向に回転する円盤上に載せた望遠鏡。
> ドブソンさんが作ったからドブソニアン。

望遠鏡の歴史と種類……主に光学的分類。屈折式は凸レンズ、反射式は凹レンズ。それから集光力と倍率の計算。扱いやすさはやはり屈折式だろうな。 屈折反射式って……シュミカセ(シュミット・カセグレン)のことかな? 直角プリズムと組み合わせた改造という小技ネタが好きだ。 ここまできたら天頂プリズムは? 地上プリズムとか正立プリズムなんていうものも……。

天体観望のマナー:
> 「ペンライトか」
> 「光が真っ赤だよ」
> 「先端に赤いゴムテープを張ってありますから」
> 「ライトの強い光をそのまま使うと、せっかく暗闇に慣れた目が、元に戻ってしまいますから」
> 「元に戻るとどうなるの?」
> 「星の明かりを識別しにくくなります。要するに、せっかくの星空をしっかり観測することができなくなるんです」

天体観望のポイント。
  • 暗闇に目を慣らす。
    外に出て暫く経つと星の数が増えてくるように見え始めてくる。じっくり時間をかけて目を慣らそう。
  • 光を照らさない。
    夜の観測場で白色光を照らすのはマナー違反なので注意。 人間の目だけではなく望遠鏡にも光が入ってしまうから、誰かが撮影中だったりしたら揉め事になるかもしれませんよ? 天体写真はその日そのときその瞬間しか撮影できないものがたくさんありますから。

天体撮影:
> 星空を撮影する場合、長時間露光が必要となる。
> デジカメでそれをやると、『ダークノイズ』とやらが発生し、星の映像が潰れることが多々あるという。
> 冷却CCDカメラならば、そのダークノイズを抑えることができる。

> 「デジカメで月の写真撮りたいんだけど、どうやったら綺麗の撮れるの?」
> 「月が明るいときを狙う。カメラは手持ちじゃなくて固定する」
> 「フラッシュは焚かない」
> 「あとは、デジカメの設定を暗い所での撮影用にして、シャッタースピードを伸ばすこと」

天体撮影はやったことがないんだけれど……。基本的には周りが暗くて目標天体が明るいとき、露光時間を長くして撮影する、でいいんだったかな? いや、長くするといっても程度問題はありますが。

神話:
> 「昴は、空でも逃げ続ける星なんだよ」
> 「昴……プレアデスの姉妹は、狩人のオリオンに追われて星になったんだよ」

> 「メドゥーサ退治の英雄・ペルセウスよ」
> 「そのお隣。アンドロメダ星雲の本体、アンドロメダ座よ」
> 「ペルセウスが助け出したお姫様ですね」
> 「そのお隣には、ペルセウスの愛馬であるペガサスがいます」

> 「天秤座。正義の女神が持つ天秤、だよ」
> 「正義の女神アストレイアが、人間の罪を計った天秤なんだって」

ギリシャ神話。主に晩夏から初冬にかけて見られる星座の神話。

文学:
> 星はすばる。ひこぼし。ゆうづつ。よばひ星、すこしおかし。尾だになからましかば、まいて。

> 竹取物語っていうのは絶望の物語なんだそうだ。
> 愛情や富、権力や武力を行使しても、誰ひとりかぐや姫が月へ帰って行くのを止められない。
> かぐや姫が送った不死の薬も、姫が帰ったことで絶望した帝は富士山で焼かせている。

  • 星にまつわる文学。ここでは日本文学。枕草子と竹取物語……有名どころですな。竹取物語は微妙だが、枕草子は星の節に限らずお気に入り。
     「星はすばる」……枕草子第二百五十四段。
     すばる……昴。牡牛座の散開星団、プレアデス。車のマークでひとつ大きい星のモデルはプレアデス姉妹の長女アルキオネ。
     ひこぼし……彦星。牽牛星。鷲座のα星、アルタイル。
     ゆふづつ……宵の明星(夕方の西空に見える金星)。
     よばひ星……流星。
  • ひこぼしに関連して余談。
    (本州では)七夕っていつも雨だと思いませんか?
    昔の人は雨の日に見えもしない七夕の星を想像して祭っていたのでしょうか。いえ、そんなことはありません。
    本来、七夕は陰暦(旧暦)文月七日の行事です。陰暦文月七日は太陽暦(新暦=現在の暦)では八月。これならば晴れることが多いですね。昔の人は行事で七夕の星を見ていました。
    つまり、陰暦の行事を太陽暦で祭ることが間違いなのです。これが毎年のように七夕が雨になる理由。
    ついでに。
    陰暦では時々、睦月(一月)~師走(十二月)のいずれでもない「閏月」という月がある。
    そして閏月にはその直前の月の行事を繰り返すという習慣があったとか。
    だとすると、文月の次に閏月があるときは「閏文月」と呼ばれて七夕が年に2回あったのでしょうか。
    彦と姫にとっては嬉しい年だったのかもしれませんね。そして2006年がその年です。

伝承:
> 「一番星、見つけました」
> 「一番星を最初に見つけた人には、いいことが起きるそうですよ」

星にまつわる伝承。これは有名だね。

暦:
> 「冬至を『一陽来復』とも言います」

なお、冬至は太陽が最も南半球へ下がる日で、南回帰線という南緯23.5度あたりにいる。

プラネタリウム:
> 「投影する星の数は4万5千」
> 「レンズ式だよね? 投影するドームは8メートル」
> 「北天用、南天用の投影部を備えた2球式です」
> 「もちろん惑星投影機、星座絵投影機も備えています」
> 「こちらが天の川投影機、月投影機、太陽投影機……」
> 「左手側にあるのが、日周運動や緯度変化のダイヤル。
>  これらを操って、解説時にはポインターも同時に使いますから、忙しいですよ」

プラネタリウム。10人やそこらしか一度に見られないミニサイズだけれど自分の手で動かして上演したことはある。それでもうっかりするとポインタで関係ない星を差しちゃったり、何かと大変だった。 いやいや、本物のプラネタリウムはさらに大変そうだ。

ロケット工学:
> 「液体ロケットは、コントロールしやすいとか、力が強いとか、色々メリットがあるけど。そのかわり、作るのが難しいんだ」
> 「固体ロケットは?」
> 「簡単に作れて、コストも低いけど、コントロールが難しかったり、大変なんだよ」

> 「あんな鳥も行けない別世界に、行きたいと夢見た馬鹿がいて、実現させた馬鹿がいるんだ」
> 「ツィオルコフスキー、ゴダード、フォン・ブラウン……」

ロケット工学かぁ……このあたりは完全に専門外だ。だからこそもっと詳しく聞きたかったな。夢見た馬鹿と実現した馬鹿……いいなぁ。壮大なロマンだ。この「馬鹿」はもちろん褒め言葉である。

UMA:
> 「これはねー、スカイフィッシュといって、世界各地で目撃されてる謎の飛行生物なんだ」
> 「この形から、フライング・ロッドって呼ばれることもあるみたい」

未確認飛行生物! ここまで触れているとは思わなかった。本当に凝ったゲームだ。ちなみに、自分はUMAには特に興味はない。

宇宙物理学:
> 「こうしてる間にも時は流れ、宇宙は膨張してるのよ」
> 「ワタシは銀河の渦ー。宇宙の中心ー」
> 「宇宙の創生とともに拡大していく『えんとろぴー』を表したものなのです」

今なお未解明ともいえる宇宙物理学。これからの人類は時空間と光の関係をどのように解釈してゆくのか。そして解明される日は来るのだろうか……。

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