Wind-a breath of heart- [詳細] |
キャラクター別レビュー。
鳴風みなも:
風を起こす力を持つ幼なじみ。幼い頃に真からもらったハーモニカ。そしてその音色を鍵として再び真に出逢うことができたみなも。「遠く離れていても想いは届く」と強く信じていたみなもは漸く真とのひとつめの約束――再会――を果たした。 でも真に「好きだ」とはっきり言うことができずに中途半端な関係を続けていた。 そんなみなもに訪れた衝撃の事件、父親の秋人の死。だが秋人の遺言とともにこの事件には何かとてつもなく大きな力が作用していると感じた2人は秋人の残した風音の風土資料を元にこの謎を調べ始める。 そこで浮かび上がってきた一人の少女、彩。彼女はこの街の人が「不思議な力」という「夢」を見続けられるように、そしてこの街そのものが滅びることのないように、大きな「力」を持つ人間を探していた。 彼女はその人間の死とともに大きな「力」を街と同化させ、街とその住人が不思議な力の中で生きていくエネルギーを維持する宿命を負っていた。秋人は彩によって殺されていた。 彼は彩やこの街の秘密を知り過ぎ、彩にとって邪魔な存在となったからだった……。 そんな彩が次にねらった大きな力の持ち主はわかばだった。わかばの姉である望とともに彩と戦う真だが、戦況は不利に。そこへみなもが身を呈して割って入る。傷を負って彩に話す。 「ひとりじゃなくてみんなで、みんなの温もりの中で生きていくことの素晴らしさ」 そのとき彩は、この街の住人はもう街の力なんてなくても「みんなで一緒に」生きていけるんだと気がつく。そう、みなもだって最後には力に頼らずに「好きだ」と言えたんだから……。 やがて彩とともに風音の街のもたらした不思議な力も消え、真やみなもたちにも普通の人としての生活が訪れた。
丘野ひなた:
高く跳ぶ力を持つ真の妹。ずっと一緒に暮らしてきたたった一人の真の家族だが、実は義妹。 街の上を毎日のように飛んでいる飛行船。それがどこから来てどこへ行くのか、そんなことに興味を持ったひなたは真を連れて山に登り、飛行船の行方をつかもうとする。 だが、それ以降ひなたは体調を崩して謎の「眠り病」にかかり、なかなか目が覚めなくなる。 彩によればそれは飛行船を追いかけてこの街と外の街との境界線を越えてしまったこと、それと真の持つ力が原因であり、ひなたを助けるためには真の心(=生命)をひなたへ移すしかないという。 彩にとってはこの街の真実を知り過ぎた真を消すのにもちょうど良いというわけだ。 散々迷った真は自分がいなくなってひなただけが生きていても、それでひなたが喜ぶはずはないと気がつき、刀剣を振り回す彩から逃げる。 そして不意にも刀剣は彩自身を刺し、彩とともにこの街の不思議な力は消えてしまった。 だが彩は最後に言い残す。 > 「これで、よかったんですよ……」 そんなやりとりが行われている陰で、ひなたは自分が動けなくなったからこのまま真が自分から離れていってしまうのではないかという不安に陥っていた。 本当の妹じゃないから、離れてしまったら繋がりがなくなってしまう……。でもそんなひなたの一緒にいたいという想いは彩と対峙していた真にしっかりと伝わっていた。 離れていても想いは伝わるものだった。
藤宮望・藤宮わかば:
望:物を斬る衝撃波を撃つ力を持つ下級生。わかばの義姉。わかば:治癒力と予知能力を持つ下級生。望の義妹。 心臓に病を持っていて病床生活を送っていた望。そこへふとしたきっかけからわかばが同居することになり、わかばの治癒力によって望は普通の生活を送れるまでに動けるようになった。 でもわかばは強大な力を持っていたため彩に同化体としてねらわれることとなり、望は持ち前の剣術でわかばを守るために彩と戦う決意をする。 既にわかばは同化体とされる直前の状態で、そのわかばを助けるために苦戦の末に望は彩に勝つことができた。だがわかばが同化体とされる経緯は彩だけによるものではなかった……。 わかばはいつも望の身体を心配していた。いつでも望の助けになりたい、役に立ちたいと思っていた。そこへ彩がわかばの生命を望へと移すことで望が助かると聞かされ、生命を譲る決意をしたのだった。 わかばが望の身体を心配していた理由はもうひとつある。 それは義妹であり本当の家族ではないわかばが、望の家族にとってかけがえのない存在になれなければいつかは家族として扱ってもらえなくなるのではないか……そんな不安。 望がいる間はいいが、いなくなったら……そう考えると更に不安は募る。 望は自分がわかばのおかげで普通の生活を送れるようになったことにとても感謝している。それ故にどんなことがあっても、どんなことをしてでもわかばを守り抜くという、こちらも命懸けの決意を固めていた。 そんな2人の決意はお互いに相手を優先して、身動きが取れない状態になっていた。 姉妹に必要なのは命懸けで相手を優先し守ることではなく、もっと普通に言いたいことを言い合って姉妹として楽しく、ときには喧嘩をして2人で生きていくことだった。
月代彩:
心(生命)を他人へ移す力と風音の街の人を街の同化体にする力を持つ下級生。この2つの力、究極的な見方をすれば同じひとつの力なのだろう。 隣の学園の下級生というのは仮の姿であり、本当は風音の街を維持するために長きに渡り街の住人から「想い」の力の強い人を探し出しては街のエネルギーに変換するという使命を果たしてきた孤独な街の管理人。 風音の街は住人の想いと街の見せる「力」という夢の相互作用で成り立っていて、 「想い」「夢」「力」という3つのエネルギーのバランスで存在しているこの街にエネルギーを与えなくなっては、街そのものとその住人も滅びてしまう。 そんな風音の伝承に従って使命を果たし続けてきたが、それは住人を選び出して消去するという仕事であり、それを永遠に負った彩は心のどこかで悩んでいた。 そんな街の構造の秘密を知ったみなもの父、秋人は彩によって消去されるが、彼の遺言は「彩を救ってやってくれ」というもの。 彩を救うということは、彩を永遠の同化の使命から解放してあげるということ。そのためには街の住人が力に頼らずに生きていけなければならない。 真は彩のようにひとりで悩まないでみんなで一緒に生きること、それがあれば力だけに頼らずに生きていけるとは思った。 しかし、同化を断絶させたら街そのものが滅びるということについては……? そんなとき真には秋人の言葉が思い起こされた。 > 「歴史には嘘と真がある。自分で現在と過去を見て歴史から真実を取り出さなくてはならない」 もしも滅びの伝承自体が偽りであったとしたら……。 そうして彩の同化の使命は終わりを告げる。そして最後に3日間だけ、真と共に生活を送る。彩が今までにすることのできなかった極めて普通の生活を……。そして彩の「想い」も満たされ、彩と風音の力は終焉を迎えた。 風音の街は滅びずに新たなる道を歩みだした。
橘勤:
真の親友兼悪友を務める同級生。風音学園に編入してきた真と仲良くなって、楽しい(?)毎日と豊富な人間関係を作ってくれた友達。小さい頃から嘘と隠し事が嫌いで、思ったことは何でも正直に相手にぶつける。
それが良くもあり、悪くもあり。霞とは家が隣同士で子供の頃からずっと一緒にいるし、今でも2人揃って通学しているという絶妙な関係を続けている。
嘘偽りのなさを信条とする勤だが、唯一表に出していないものがある。それは紫光院に対する気持ち。
紫光院霞:
他人の心を感じ取る力を持つ同級生。他人の心を感じる……それは決して良い力とはいえない。言いたくない。霞の経験談。 人込みで多量に流れ込む人の感情に耐え切れなかったり、偽りの笑顔の下に隠された本心が見えてしまったり……世の中には知らないほうがいいことはたくさんあるものだ。 そんな力のせいで自分をうまくコントロールできなかった霞は小さい頃にいじめられたり、うまく人と接することができなかったりした。 そんな中で嘘偽りなく接してくれる勤は霞が自然体でいられる大切な友達となった。でもその友達への想いもいつしか恋心に変わる……。でも勤の気持ちを覗いてみようとは決してしない。それが霞という人だ。 霞の眼鏡は力を抑制するためにかけている特殊な眼鏡だ。
丘野真:
他人の「力」を吸収する力を持っている。主人公。自分には力がないと思い込んでいる真だったが、実はその力は他人の発する「力」を吸収――或いは無効化――して弱めてしまうという力だった。 そのせいで長い間真と一緒にいたひなたは力が徐々に弱まり、街の発する力に対する耐久力が落ちて眠り病にかかってしまう。 この真の力が最も大きく発現されたのは彩との戦闘。心を斬るために彩の想いが生み出した刀剣、しかしそれは力を無効化してしまう真を斬ることはできなかった。 第一の危機をどうにか持ちこたえた真に次は本物の刀剣が迫るが、その真と彩の間にみなもが割って入り、彩を説得することに成功したのだった。
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