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バイナリィ・ポット [詳細]
キャラクター別レビュー。

羽根井優希:
従妹で仲良しの幼なじみ。
小さい頃からずっと洋一の傍にいてこわい犬から守ってもらったりなど、洋一からは自分にとって大切な思い出をたくさんもらってきた。 お互い大きくなるにつれて、洋一は見ていないとなんとなく気になって心配な存在になり、いろいろと身の回りの世話を焼くようになっていた。
そして両親の残した店、バイナリィ・ポットを継いで店長となった洋一のことを似合わないと笑ったりもしつつ 洋一と一緒に店をやっていけることがとてもうれしくもあり、 やや不安定なバイナリィ・ポットの経営を2人で立て直そうとすることにはなったが、いい案が浮かばない。 そこで優希は思い切って、嫌っていたバイナリィ・ポットの制服を着て外でチラシ配りを始めた。 あんなに嫌っていた服なのに……でも効果は覿面だった。
そんな姿を見て洋一は、いつもワールドに浸りきっているのにそんな自分をずっと慕って見守ってくれている優希のことに気づき、これからも一緒にいることを決意した。

  • オーソドックスな幼なじみシナリオ。あまり凝った設定がないのが初期のゲームを思わせるが、それでいいかもしれない。ちなみに優希にはもうちょっと深いシナリオが読めるルートもある。
  • 優希には最後までワールドに関わってほしくなかった。なんか残念。
  • 洋一のことを「よーいち」って呼ぶのが好き。

諏訪奈都子(ナツコ):
大人しくて控えめな子。
大人しい自分の性格を変えたくてバイナリィ・ポットでのバイトを始めたが、 仲良しの里美も誘って一緒にバイトをしているうちに、いつも自分のことを気に掛けてくれる洋一のことが気になり始める。でもどうやら仲良しの里美も似たような感じらしい。 奈都子はその性格故に自分の気持ちに遠慮して、本当は気になるのに里美に譲ってしまう。
そんな奈都子の心に大きな変化をもたらす事件が起きた。いつもサトミと一緒にワールドへ接続していたナツコだが、あるときサトミがドラッグ事件に巻き込まれてしまった。 いつまでも帰ってこないサトミを心配してひとりで助けに向かうナツコだったけれど、到底無理な話。 見兼ねたアキに説得されたナツコはアキと伴に行動することにし、アキのバックアップとして敵地に侵入、事件を解決する。
決断力と自信を得た奈都子は里美と正面から向かい合って自分の気持ちを話し、洋一にもそれを伝えることができた。

  • なかなかおもしろかったが、アクションシーンをもっと書いてほしかった。
  • 敵地でのナツコの活躍ぶりはわかるけれど、なんだかあまりにも唐突でねぇ……。敵地へ乗り込むっていうのはとんでもないことだと思うし、あのナツコが平然としていられるはずがない。 その大人しいナツコの気持ちが揺れる様子をもう少し書いてあるとすごく良かったと思う。

川中島里美(サトミ):
とっても元気な奈都子の親友。
奈都子に誘われて始めたバイナリィ・ポットのバイト。 ワールドにも接続していた彼女はそこで洋一にそっくりなアキを発見して、しかも腕利きのハンターだと知って憧れる。 そして危険な仕事だからというアキの思惑に反してついて回って自分もハンターを目指そうといていた。
だが、急速に流行し始めたドラッグ事件に巻き込まれてしまい、アキに助け出されたものの、ドラッグと長時間接続の所為で喪失者直前の状態になってしまった。 それでも、アキがナツコと伴にドラッグ組織へ乗り込んだと知った里美はすぐにワールドへ接続、アキのバックアップとして事件を解決してハンターへの道を少し前進し、洋一に少し近づけたことを嬉しく思っていた。

  • 専用シナリオなのに里美自身があまり登場しない。それは敵に捕らえられてしまって、その救出劇という形を取っているからなんだけれど……。 シナリオの中ではメインの扱いだとはいえ、登場シーンが少ないのは寂しかった。
  • シナリオの内容は……まぁまぁかな。

吉野佳澄:
機械に強い年上ウェイトレス。
バイナリィ・ポットに長年務め、得意分野は機械回りというベテランのウェイトレス。機械に強いとあって当然ワールドへの接続も常連クラス。
いつものようにワールドへ接続すると、その日に発生していた事件は「キャスト大量誘拐」。 そんなことをすればマザーコンピュータのデータに異常を来たしてすぐに発覚するのでは? それに何故キャストを誘拐するのか?  さらに自分の作ったプログラムでカーマインを始めとする多数のプレイヤーが捕らえられたことも気に病み、救出に乗り出す。 アキを筆頭としたギルドメンバーと協力して調査を進め、ついに敵の本拠地で決戦。アキの特攻で2人は勝利を収めた。

  • アキを好きになる理由が弱い気がする。優希と同じく「見ていないと心配だ」とでも思うのだろうか。シナリオの流れからだと、それもちょっと違うように感じるんだけれど。
  • 決戦のちょっと前あたりまではいい感じの緊張感を保っていたのだが、ギルド総攻撃などのアクションの描写が弱い。ナレーションで片付けてしまうとは。これは惜しいなぁ。
  • 敵の野望の詳細(キャスト誘拐の理由)についてはここではわからないが、別のシナリオで明らかになる。それはいいんじゃないかな。うん。
  • エッチシーンで時々、素に戻ったような声が混ざるのは良くない。熱が冷める。

小津千歳:
ワールドと甘いカフェオレが大好きなお嬢様。
バイナリィ・ポットの会員になってからというもの、毎日通い詰めては同じ席に座り、同じカフェオレを注文し、同じように角砂糖を6個入れて飲む。 機械にも強いようで、バイナリィ・ポットに来てはワールドへ接続しているが何をしているのかはよくわからない。
ワールド内のトラブルに巻き込まれて現実世界の身体が危険になったときに洋一が彼女の自宅へ駆けつけると、そこは想像を絶する大邸宅で、千歳は執事と2人きりで住んでいた。 聞いてみると両親とも完全に別居中で半分忘れられたような存在。 その寂しさから彼女はバイナリィ・ポットへ通うようになっていたことを知った洋一は、責任を持って彼女を引き受ける決意をした。
そして……小さなお嬢様ウェイトレスの誕生だ。

  • 家が寂しくてネット世界に入り浸る……なんだか現実にありそうだ。これがBGMの曲名にもある「Net s[e]rf」だろうか。 千歳に限ったことではなくて、この作品全体が「Net s[e]rf」の人と世界、その楽しさと問題点を取り上げているんだけれどね。我々、現実の問題として。
  • 絵は千歳が一番綺麗かな。他の子に比べてお嬢様キャラクターらしさもよく表れている。線が細いというか。
  • 妙に大人びた声色だったのでもう少し子供っぽい声にしておいても良かったような気もするけれど、それは品格っていうことにしておく。どうしても気になるっていうほどではないし。

ミリィ:
アキと伴に行動するキャスト。
外見も性格もやや子供っぽいがアキと共にギルドに所属して一流ハンターの防衛専任として活躍している。
キャストの連続誘拐やドラッグ配布を行う大きな敵と戦うために全メンバーがギルドに集結した。 その中でもリーダーを担うアキのチームはサトミとナツコが情報収集、ミキとカーマインはその技能を活かして侵入や敵のガードの解除、アキとマサトとミリィは最前線に出ることになった。 そこへこれまでの事件に加えてキャストの不自然な行動という新たな問題が浮上。どのように不自然かというと……怒ったり、反抗したりと行動がまるで人間のようなのだ。 これらの事件は、ある首謀者のキャスト絡みのワールド改造計画という今現在のワールドを破壊しかねないなような野望だった。
不自然なキャストの話を聞いて、キャストと人間の差異を思い悩むミリィ。 キャストは人間によく似ていて、またよくできているが、創造性のあるキャストはいないらしい。キャストになくて人間にあるものとはいったいなんだろうか。

  • キャストと人間の差や人間自身について語るシナリオで優希に続いてメインとなるシナリオらしく、ちょっと複雑だけれどワールドの世界設定が実によく活かされていておもしろい。
    この手の話の場合に「キャストに足りないものは心、感情」の一言で片付けられることも多いけれど、ミリィが感情を持っていないようには思えない。そんな簡単な一言で済ませてはいけないようだ。 で、結局バイナリィ・ポットとしてのコンセプトは?
  • ミリィはワールドの中のプログラムとデータ……それはつまり今まさに自分が画面で見ているゲーム「バイナリィ・ポット」の中のミリィと同じことだ。
    ミリィとのエッチシーンには「思い出がほしい」の他に「プログラムとデータでしかないはずの自分だけれど、 それでも確かに今ここに存在していることを実感で、その目で、その身体で確かめてほしい」という切実な願いが込められている。こういうエッチシーンはとても好きだ。
  • ミリィが「キーワード」を入れるまでの「溜め」がもっとほしかった。重大なことなのに勢いがつきすぎていたというか、あっさりシーンが進んでしまったような気が。 それとも「もう一瞬たりとも抑えきれない状態」という描写だったのだろうか。こういうあたりもメーカースタッフの悔恨の呟きに入るのかな。それにしても、
    > 「天に星、地に花 人に愛」
    この宇宙における美しいものを代表して表す有名な言葉。いい言葉だ。ここにオーガストのコンセプトの全てが含まれているといってもいいくらい。
  • ミリィのファッションがいい。いい。かなりハマった。別に服装でというわけではないけれど、一番のお気に入りは文句なしでミリィだなぁ。うん。
  • ミリィはいい子だ。かなり人間らしい良さを持ったいい子だと思う。だけどやはりどこか「キャスト」なんだよな。不思議な存在。

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