エンジェリック・コンサート [詳細] | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
曲別レビュー(曲名:キャラクター/調性/難易度)。
[A1]トラベルハーモニー:サフィ/F-dur/易
最初の町ハーフェンでサフィが歌う曲。旅、出逢い、恋愛、夢、そしてこのゲーム……すべてのはじまり。まだこれから出逢う困難を知らない、そんな無垢で爽やかなイメージの曲。 擬人化された詩が多く、おとぎ話風で言葉(表現)がやわらかい。 前奏で小刻みに鳴る打楽器(?)はおそらく雨の音を表現していて、前奏の後半に入るとその音が消え、次の歌詞パートで「雨の音 やんだなら 出かけよう 元気よく」となる。
[A2]心の中の冒険:サフィ/C-dur/やや難
プラージュの海岸・氷の町イエロ・森の中の村東ラーマでサフィが歌う曲。夢見る心や子供心の大切さを歌う曲で詩は口語調で楽しく親しみやすく、 「胸にせまる」「小さな地図」「ポケットにつめていこう」「心の中の冒険」「青い鳥」「行く当てのない旅」等々、詩的な表現の多いロマンチックな歌。
[A3]Myself・Yourself:サフィ&クリノン/B-dur/易
旅の目的地、王都フォルラータのコンテストでサフィが歌う曲。サフィのエントリー曲。夢を持って生きることの素晴らしさを歌う曲。ストーリー上でこれまでに出てきた他の曲の要素がたくさん織り込まれた曲で、 「エンジェリック・コンサート」を象徴する「まとめ」の曲。 カウジーが作詞/作曲を担当し、最終的にサフィとカウジーが意気投合して完成させた記念の曲でもある。サフィはかわいく歌っているが、自分の人生は自分の力で切り開けというちょっぴり厳しい内容の詩。 また、謎の邪悪を破るためにサフィとクリノンが最後に力を合わせて歌った曲でもある。 Windows版の追加曲としてクリノン版というものがある。
[B1]Premonition:サフィ/Es-dur/並
料理人の町コクウス・王都の玄関ポルト・湖の町ラクスでサフィが歌う曲。今まで抱かなかった「初めての気持ち」に気付いた瞬間の曲。これからいろいろなことが起こる。まだ「始まる前」。 自分の気持ちを優しく素直に語っている。「友達」と「恋人」、「昨日」と「明日」、「そう」と「ねえ」等々、要所要所での1番歌詞と2番歌詞の言葉の呼応も綺麗な曲。
[B2]ひと言の魔法:サフィ/G-dur/並
フォレストの森でサフィが歌う曲。サフィのテーマソング。自分の中の「漠然とした想い」や「夢」を語る、大人しく健気な曲。 それはまだ本当の「想い」にまで成長していない「想い」かもしれない。 思ったことを飾らない言葉で述べ、心の呟きがそのまま歌になったものなので、「……いいのにな」「……いいのにね」が特に印象的。サフィの古くからの持ち歌で強い魔力が発揮される。 なお、PS2版ではこの曲を回避できる。それでいいのか? また、サフィ攻略ルートではカウジー単独演奏のこの曲に出逢える。サフィを助けるために演奏したのでサフィの歌はなくインストゥルメントで、カウジーがサフィのために自力で退魔をしたという感激のエピソード。 フリープレイには収録されておらず、ストーリー上でのみ演奏できる。
[B3]ロマンス寸前:サフィ/D-dur/やや易
カルフールの町でクリノンと出逢ったときにサフィが歌った、サフィの勝負曲。友達以上恋人未満の曲。まさにこのゲームのサフィとカウジーの状態。 詩が「Romance寸前」→「Panic寸前」→「Break寸前」と順を追って、心の高揚が強まってゆくように感じられる。 サフィがクリノンと勝負して勝った曲なので、ゲーム中の位置付けとしてはそれほど悪くないはず。
永遠に夜が続くノーチェの町・モモーナのおいしいネクタでサフィが歌う曲。 恋愛の不安を描いた曲で、落ち着きを持った少し大人びた雰囲気を持つ抒情的な洒落た曲。ロッカバラード、ロマン派のノクターン。 不安を象徴する言葉がたくさん織り込まれている。 「消えそうな三日月」「戸惑う」「涙」「~したい」「~かな」「無口」「大人びたふり」「壊れそう」「切なくて」「泣きたい」「すべり落ちてく」「こぼれないように」「ずっと眠らない」「会えない」「辛い」 しかしこの不安は次の瞬間に霧消する。 「聞こえる」「世界中に2人だけ」 どうやらこの2人は大丈夫みたい。よかったね♪
王都への分岐点シュタル・港町プエルト・無人の館フォンス・下の大地の城塞都市ツヴァイトブルクでサフィが歌う曲。 身近なところにある大切なものに気づいた瞬間を歌う曲。大切なもの……友達、家族、恋人等々すべてに当てはまる。 優しい言葉でゆっくりと語りかける詩が大人の雰囲気を醸し出している。将来のサフィの姿だろうか? ゲーム中では人の気持ちを静めたり、浄化をしたりと「癒し」の効果を持つ曲。 中盤にある音の密集域は裏拍も多くて難関。
[C1]My sweet darling:クリノン/C-dur→Des-dur/難
森の中の村西ラーマ・川と花火の町フーダルティ・上の大地の中枢都市サントル・温泉の町ハイセクベーレでクリノンが歌う曲。クリノンの十八番でテーマソング。恋に恋する女の子らしい曲。強気と弱気の入り混じった、でも快活な曲。 テンポは全曲中で最速、リズムも細かくかなり難しい。特に2箇所ある音階の弾き上げはゲーム中で1、2を争う難易度。 街頭で歌ったり、サフィと勝負したり、コンテストに出場したりと実に万能な曲。クリノンには他の持ち歌があるのだろうか?
[D1]優しい森:リアン・ピアラ/C-dur(リアン)・B-dur(ピアラ)/やや難
フォレストの森でリアンが、氷の町イエロ/上の大地の中枢都市サントル(アンコール)でピアラが歌う曲。「森」に好きな人の姿を投影し、感じたままに描写した曲。「好きな人」にはもう出逢ったのか……わからない。まだなのかな。 ストーリー上は出逢いのシーン。ピアラは得意の「かかと落とし」を炸裂、リアンは水浴び中♪
[D2]愛のチョコスフレ:リアン・ピアラ/H-dur→Fis-dur→H-dur→Fis-dur→H-dur/やや難
下の大地の城塞都市ツヴァイトブルクでリアンとピアラが歌う曲。ありがちな恋愛模様(?)をわざわざおもしろく書いた曲という感じ。詩は楽しい。そして詩には殆ど深い意味などはない。言葉遊びも入っている。よく韻を踏んでいる。 歌と前奏や間奏で調性が異なるというおもしろい曲。 ゲーム中では「心の中の冒険」のライバル曲という位置付けになるのかな。
[D3]赤い赤い花~THE WILD FLOWER~:リアン・ピアラ/C-dur/難
上の大地の中枢都市サントルでリアンが、上の大地の中枢都市サントル/氷の町イエロ(アンコール)でピアラが歌う曲。迷いのない「好き」な気持ちをファンタスティックに描いた曲。 高速なテンポ、複雑なリズム、込み入った和音、調性無視のメロディ、難解な詩といった、全てに於いて最高の難易度を誇る曲。 追加曲らしく遊び心があって韻を踏んでいる。ゲーム中での配置から判断するに「My sweet darling」のライバル曲という位置付けになりそう。ものすごく自信に満ちた内容の曲。 このゲーム中、最強。この人をライバルにしたら勝てなさそう。
グループ別レビュー。
[A1~A3]トラベルハーモニー、心の中の冒険、Myself・Yourself
このゲームのメインテーマ「夢をかなえる」を語る3曲。1曲目がトラベルハーモニー、最後がMyself・Yourselfという配置も「夢の始まり」「夢の実現」と呼応していて、
ストーリーとよくシンクロしたゲーム中で最も重要な組曲ともいえる。[A1]トラベルハーモニー: 「We go to the dream」はこのゲームで一貫されて追求されている夢というテーマ、そのはじまりを表している。 なのにゲーム版でこのフレーズがカットされているのは大問題だと思うんだが。 [A2]心の中の冒険: トラベルハーモニーで見つけた夢を追いかけている最中。くじけそうな心と追いかけたい心の両方を前向きに表現している。 [A3]Myself・Yourself: 度々現れる夢という言葉はトラベルハーモニーで見つけた夢であり、心の中の冒険で追いかけた夢でもある。 もちろんストーリー中の「歌姫になる」という夢を表す言葉でもある。 旅立ちのときに夢を持ち、途中忘れたり諦めたりしそうな自分を励まして最後まで夢に向かって進み、そして実現する……コンテスト出場までの長いストーリー全体を通じてそのことを訴えている。
[B1~B5]Premonition、ひと言の魔法、ロマンス寸前、眠る前のテレパシー、毛布のようなあたたかさ
女の子側から見た恋の気持ちの移り変わりを歌っていて、このゲームの第2のテーマ「恋愛の成長」を歌う組曲。一般的な話をゲーム中のサフィとカウジーに照らしている。なお、ゲーム中での演奏順序通りでは歌詞に注目した場合に話が前後してしまうので、このページでは歌詞の内容に注目した場合の話の順序に合わせてコメントした。自分のイメージとしては、 [B1]Premonition:「気になる人」 [B2]ひと言の魔法:「片想い」 [B3]ロマンス寸前:「友達→恋人」 [B4]眠る前のテレパシー:「不安」 [B5]毛布のようなあたたかさ:「信頼」 こんな順序でこんな感じかなと思ったわけで。 ひと言の魔法がサフィのイメージソングになっているから、今のサフィはひと言の魔法=片想いの段階にいると考えていいのかな(旅の途上で少し前進するんだが)。 そしてひと言の魔法のところで述べた「実現した歌詞」は、そんなサフィがこの旅を通じて実現できた数々の想い。 「……いいのにな」が旅を通じて本当になった、というわけ。 とはいえ、まだサフィとカウジーには、「眠る前のテレパシー」「毛布のようなあたたかさ」の段階が残されている。 道のりは長い。
[C1]My sweet darling
唯一のクリノンの曲であり、他の曲とは全く関係がない。ストーリー上での配置からもわかるがクリノンの性格がよく表れていて、強さの陰に弱さが見え隠れするクリノンの本当の姿が感じられる。 たった1回(1曲)の出番で精一杯のアピールをするわけだが、曲の難易度の助けもあってかインパクトは十分である。歌も上手だ。この名曲に振り向くのは誰なのか。 それにしてもクリノンの曲はもう少し多くても良いと思うが?
[D1~D3]優しい森、愛のチョコスフレ、赤い赤い花~THE WILD FLOWER~
サフィやクリノンとはまた別の女の子の恋心ストーリーで、サフィのシリーズと同じく何曲かを通じて女の子の気持ちの変化を歌っている。[D1]優しい森:「心に想うあの人の像を森に重ねるロマンチスト」 [D2]愛のチョコスフレ:「友達と恋の競争」 [D3]赤い赤い花~THE WILD FLOWER~:「強く固まる相手に対する想い」 サフィのシリーズでは詩の表現がダイレクトであったのに対して、こちらはロマンチストやコミカル等々、表現がとても多彩。女の子の恋愛アプローチもいろいろだ。 三者三様な曲を歌いこなすリアンとピアラはマルチタレントらしい。 リアンとピアラはサフィよりもリズム感も良くなかなか現代的のようだが、はたして? それから性格の異なる2人が同じ曲を歌うのも興味深いので、それぞれの歌い方の違いにも注目。 追加曲はおもしろいほど韻を踏んでいて詩と曲の完成度も高いんだけれど、内容はストーリーとは殆ど無関係。これで良かったのだろうか?
それぞれの歌の内容も意味があるし、ストーリーと歌との関連もかなり深かったりしてよくできている。システム的サービスも充実しているし、豪華な声優陣という最大のサービスもあるし。
総合的に評価して秀作といえそうなゲームかな。自分ではそう思っているんだけど。
おまけ。町や村などなどの名前について。
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